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東京地裁が、平成28年5月25日に言い渡した判決が、近頃話題になっています。
テレビや新聞で報道されましたので、ご存じの方も多いと思いますが、日本舞踏の花柳流に関する事件です。
事の発端や今回の裁判の結果などは、他に譲るといたしまして、このニュースを見聞きしての考察を一つ。

花柳流の三世宗家家元は2007年に急逝されたそうですが、配偶者・子供ともいませんでした。
また、父母(直系尊属)や兄弟姉妹もいなかったために法定相続人が1人もいないという事態になりました。

相続人が一人もいないと、その相続財産はどうなるのか。

①相続財産は相続財産法人となります。

②利害関係人または検察官が家庭裁判所に相続財産管理人の選任を請求します。

③選任された相続財産管理人が相続財産のうちマイナスの財産(借入金など)を清算をします。

④清算の結果、残余財産があれば、これに対する特別縁故者への財産分与が家庭裁判所により審判されます。

⑤特別縁故者がいない場合や特別縁故者への財産分与が認められない場合には、残余財産は国庫に帰属します。

ちなみに、特別縁故者とは、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者、その他被相続人と特別の縁故があった者などです。
特別縁故者として、一番に想定されていたのはおそらくお嫁さんでしょう。
夫は既に亡くなっているが、夫の親を死ぬまで面倒を見たなんてケースです。
夫との間に子がいれば、その子が相続人になりますが、子がなく夫の兄弟姉妹もいない。
お嫁さんには相続権はありませんから、相続人不存在で即相続財産が国庫に帰属では、最後まで面倒を見たお嫁さんに酷すぎますよね。

さて、相続人がおらず、特別縁故者への財産分与も家庭裁判所が認めなかったとすると、相続財産はすべて国のものになってしまいます。

仮に、私に相続人がおらず多少の財産を持っていたとしたら、・・・。
やはり、遺言をしておいた方がよかったのでしょうね。