6月19日に閉幕した、今年の全米オープンゴルフ(オークモント・カントリークラブ 7,257Y・Par70)ですが、最終ホールもバーディーとしたDJことダスティン・ジョンソン選手(米国)が堂々のゴルフでメジャー初制覇を果たしました。
われらの松山英樹選手は残念ながら予選落ち、代わって宮里優作選手が2日連続のイーグルで盛り上げてくれました。
ダスティン・ジョンソンといえばツアー屈指の飛ばし屋ですが、昨年の全米オープンでは最終ホールの3パットで優勝を逃すなど、メジャーにはなかな勝てませんでした。
2010年の全米プロゴルフ選手権以降、惜敗続きだっただけに、まさに悲願達成ですね。
ところで、そのDJに対するペナルティが物議をかもしています。
問題のシーンは、全米オープン最終日の5番ホールのグリーン上、1.5メートルのパーパットを打とうとしたDJは、パットを打つ直前に動作を止めて競技委員を呼びました。
全米ゴルフ協会(USGA)の競技委員は、DJの「パターを置く前(アドレスする前)にボールが動いた」との話を受け入れて、そのままプレーを続行させました。
DJは、パットを決めてこのホールをパーで上がったのですが、その後に複数の競技委員が映像を見直した結果、ボールが動いたのがアドレス後で、DJの動作が影響したとの見解が浮上したのです。
12番に入る際に、この問題についてラウンド終了後に再協議し、1打罰が加えられる可能性があることがDJに伝えられました。
結果的には、ラウンド終了後の再協議で1打罰が課せられたものの、DJは2位に3打差をつけて優勝とあいなりました。
しかし、ゴルフはまさにメンタルスポーツ、優勝争いの真っただ中、ただでさえ痺れるサンデー・バックナインの最中に、「後で1打罰つくかも」なんて言われても困りますよね。
DJはこの話を告げられた時のことを、
「今はどうすることもできないので、目の前の1打に集中しようとした。自分にできるのは12番のティーショットに集中することだけ。しっかりフェアウェイをとらえることができた。」と語っています。
最も緊張する時間帯に投じられたネガティブな情報に対して、そんな風に切り替えていけるあたり、メジャーチャンピオンたるにふさわしいメンタルの強さを身に着けていたということでしょうか。
さて、このペナルティですが、「プレーヤがインプレー中に、球の動く原因となることをした場合は1打罰。」というルールに基づき課せられました。
そしてその判断に対しては、12番ホールの時点からファンのみならず他のプレーヤー達からもツイッターなどを通じて多くの批判が寄せられました。
正直なはなし、ボールがインプレー中に動いたのか、その前に動いたのかは、私にはわかりません。
ところで、私の手元にある「ゴルフ規則」には、ゴルフ規則の本質と精神について次のようなことが書かれています。
数あるスポーツの中でゴルフ競技の大きな特徴の1つは、通常、審判員が立ち会わないことであり、それはゴルフがフェアープレーを重んじるスポーツで、ゴルファーはみな誠実で、故意に不正をおかす者はいないとの考えに基づきます。
そして、罰則の規定は、ゴルフ規則を知らなかったり、過失によってその処置を誤ったプレーヤーに対し、競技全体の公平を図る観点から決められました。
だからこそ、ゴルファーのひとりひとりがゴルフの規則を知って自主的にゴルフの規則を守るようにすることが大切なのです。
もちろん、全米オープンをはじめとするトーナメントでは、優勝争いをしている選手はカメラに囲まれており、これらも含めてより厳格にルールの適用をしようというのも十分理解できます。
しかし、同伴していた競技委員が本人の申告に基づきノーペナルティーの判断をしたにもかからず、他の競技委員から待ったがかかり、ラウンド終了後に再協議って、それってフェアなんでしょうか?
あんな、ツルんツルんのグリーンでほんの数ミリ(ディンプル2,3個分だそうです)動いたかどうかで、ペナルティー云々いうよりも、もっとフェアにするためにやることあるんじゃないかな。
ドロップエリアの設定場所なんか、アンフェアに感じることが多々ありますよね。
私の見る限り、DJは5番ホールも含めてフェアに、そして王者にふさわしいゴルフをしました。
最高水準の技術とフィジカルそしてメンタルを見せてくれるPGAツアーやヨーロピアンツアー、それにふさわしいフェアプレー精神の持ち主たちの活躍。
それを世界中のファンが期待しています。
USGAはじめ他の団体は、その辺をもっと意識し、そして啓蒙する大会を運営をしてもらいたいと願います。
「球はあるがままにプレーせよ。コースはあるがままにプレーせよ。それができないときは、最もフェアと思う処置をとる。」
「武士は喰わねど高楊枝」
やせがまんも、たまにはいいものです。