グレートトラバース(Great Traverse)とは、プロアドベンチャーレーサーの田中陽希氏が挑んだ、日本百名山を人力のみを使い一筆書きで踏破するというプロジェクトのことです。

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2014年4月1日に屋久島の宮之浦岳をスタートして北海道利尻島の利尻岳まで、移動距離7,800キロメートルを208日11時間をかけて、自分の足と腕(海路はなんとカヤックで移動)だけをつかって、まさに人力のみで走破したのです。
これに飽き足らず、翌2015年には日本二百名山ひと筆書きに挑戦しました。
今度は北から南を目指して、5月25日に北海道・宗谷岬をスタートして、100の山と8,000キロメートルを踏破、このチャレンジは2016年1月1日の佐多岬到着で幕を閉じました。

ともかく、百名山、二百名山のすべてに登るだけでもたいへんなのに、山から山の間も走ったり歩いたり、はたまた海峡ではカヤックで渡ったり、しかも約7カ月でこれらを「一筆書き」しているのですから、ほんとにたいへんです。
天候の悪い日は、せっかく登頂してもまったく視界がきかず、即下山なんていうこともしばしば。
もちろん、テレビでは晴天時の景色が差し込まれますので、見ている我々はしっかり二百名山の魅力を楽しむことができるのですが・・・。

この挑戦の様子はNHKで放送され、現在も平日の午前7時からNHK・BS放送で「グレートトラバース2 15min.二百名山完全踏破への道」として放映されています。
興味がある方は是非ご覧になってください。

私が、この「二百名山一筆書き」のチャレンジャーである田中陽希氏をはじめてみたのは、2011年でした。
たまたま、見かけたパタゴニア・エクスペディション・レース(Patagonian Expedition Race 2011)という「アドベンチャーレース」に、チーム・イースト・ウィンドウの一員として参加していたのが、田中陽希氏でした。
はじめてみる、アドベンチャーレースの過酷さに度肝を抜かれるとともに、レースによる疲労やフラストレーションの極限状態の中、チームリーダーの田中正人氏にかみついている田中陽希氏の姿が妙に鮮烈な印象として記憶に残っていました。

つい先日、パタゴニア・エクスペディション・レース2016に参加している姿を見て、この5年間でのアドベンチャーレーサーとして人間としての彼の成長を目の当たりにし、感慨深いものがありました。

さて、彼の所属するチーム・イースト・ウィンドウのチームコンセプトなかに、「メンバーは自分に厳しく、他のメンバーにも妥協のない行動を求める。」という一条があります。
これだけを見ると少し行き過ぎな感じがしないでもないのですが、このチームは世界大会で優勝を最優先目的として活動しているのです。
真剣に何かを目指している者たちにとっての本当の意味での「チームワーク」について考えさせられる一条ですね。

ということで、今後もチーム・イースト・ウィンドウや田中陽希氏の活動をみまもっていきたいと思います。