2016年6月23日、EU(欧州連合)残留か離脱かを問うイギリスの国民投票が行われ、即日開票の結果、離脱支持が残留指示を僅差で上回りました。
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この結果、1973年のEUの前身であるEC(欧州共同体)参加以来、43年に渡る英国のEU加盟に終止符が打たれることになりました。
今後2年間で、離脱に向けた交渉を英国とEUが行っていくことになります。

この投票結果を受けて、為替市場では英ポンドが大幅安となり、円ドル相場も一時1ドル100円を割り込みました。
また、6月24日の株式市場では日経平均が14,952.02円(前日比1,286.33円安)、香港・ハンセン指数も前日比-2.92%の大幅安となりました。

今回、英国がEUから離脱した理由としては、以下の3点があげられています。

①EU域内からの移民の急増による、雇用への危機感の台頭

②EUへの拠出額の費用対効果が庶民レベルで実感できないこと

③光栄ある孤立への郷愁

さてこのBrexit※は、今後どのような影響を及ぼしていくのでしょうか?

※Brexit(ブリクジット)
英国のEU離脱を指す、Britain(ブリテン)とexit(出口)からできた造語

抜本的には、原加盟6か国から28か国まで膨らんできたEUの拡大路線の修正です。
トゥスクEU大統領は投票前に、英国が離脱を選択すれば「EU分裂に向けた第一歩になる恐れがある」と警告を発していました。
2010年のギリシャに端を発する欧州債務危機も、性急すぎるユーロ圏の拡大が一因と言われており、EU首脳は、域内の動揺を早期に収拾し、分裂の芽を摘むための新たな戦略を提示しなければなりません。
英国以外にも存在するEU懐疑派が支持される背景として、EUの政策が選挙で選ばれていない官僚によって決められており、民意を反映していないとの不満もあります。
今回の危機をバネに、有権者が納得できる「新生EU」の姿を、提示できるのかが問われています。

そして、目先の問題として一番気になるのは、為替・株式などの金融市場への影響です。
前述の日本マーケットはもちろん、この原稿を執筆中の6月24日17:24現在、欧州各国の株式市場は、英国-3.91%、仏-7.04%、独-5.71%となっています。
マートットが負の連鎖を起こして、それが実体経済をさらに悪化させる恐れがあります。

ただし、Brexitの影響を過小評価することは慎まなければなりませんが、過大評価も禁物です。
もともと、英国は地理的、歴史的に欧州大陸とは一線を画してきたお国柄ですし、通貨も法体系も違っています。
地続きで欧州統合の必然性の高い欧州大陸諸国とは、少し事情が違います。
ちなみに、今回の投票結果を受けて、英国の中でも親EU的なスコットランドでは、二コラ・スタージョン自治政府首相が「スットランドの未来はEUの一部になること。」と、独立を目指す可能性を示唆しました。

マーケットは、時に(というか「いつでも」かもしれません)行き過ぎるものですし、今回も大きな変動が予想されます。
また、マスコミはその事象を大げさに報道しますが、それに乗せられてはいけません。
少し表現が難しいのですが、マスコミは基本的に過去に起こったことを報道しているのであって、それを鵜呑みにして判断するとなれば、さらにもう1テンポ遅れてしまいます。

奇しくも、日経平均がリーマンショック以降の戻り高値20,952.71円を付けたのがちょうど1年前の2015年6月24日。
1年と1日で、6,000円値下がりしたことになります。
過剰反応せずに、冷静に対処することが肝要です。