先日、ある人とファンキー加藤氏の話題から、認知の話になったのですが、今日は知っているようで意外と知らない「認知」についてお話します。
oyako
「認知」とは、婚姻関係にない男女の間に生まれた子(非嫡出子・嫡出でない子)を自分の子であると認める意思表示をいいます。
この意思表示をすることによって、認知した人と認知された子の間に法律上の親子関係が生じます。
法律の条文上は(民法第779条)、嫡出でない子の父または母が認知できることになっていますが、母と嫡出でない子の母子関係は、分娩の事実によって当然に発生するとされていますので、実際問題になるのは父親の認知ということになりますね。

さて、認知によって法律上の親子関係が生じるというのは、具体的にどういうことでしょうか?
名字については、母の氏を称することになり、認知されても当然に父の氏に変わるわけではありません。
しかし、家庭裁判所の許可を受けて市区町村長に届け出ることで、父の氏に変えることができます。
親権についても母親が親権者ですが、認知後は父母の協議によって父を親権者に変更することができます。

次に、親子ですから扶養義務が生じます。
認知の効力は効力はその子の出生時にさかのぼりますから、仮にその子が5歳の時に父が認知したとしても、その扶養義務は生まれた時からです。
母親は生まれてから認知した時点までの養育費も請求できることになります。
養育費がいつまで支払われるかについては、確たる決まりはありません。
成人(20歳)までとか、高校卒業あるいは大学卒業までとかを父母間の話し合いで決めることになります。

それから、当然ながら認知された子は父の推定相続人になります。
この相続に関しては、平成25年12月に民法改正がありました。
従来、非嫡出子(認知された子)の相続分は、嫡出子(婚姻関係にある夫婦から生まれた子)の2分の1とされていましたが、この法改正により嫡出子と非嫡出子の相続分は同じになりました。

ところで、父親が自発的にする認知を任意認知といいますが、この場合は市区町村長に対して届け出なければなりません。
もう一つの任意認知の方法は、遺言によってする認知ですね。
成年の子を認知する場合は、その子の承諾が必要となります。親子の扶養義務は子が親の面倒を見ることも含まれますから、未成年のうちは子の世話もせずに、自分の面倒はみて欲しいなんていう父親なら、子としても今更認知されても困りますよね。
子がまだ生まれていない胎児の場合は、母親の承諾を得て認知することになります。
ちなみに、認知するのに法律上は妻の同意や承諾は必要ありません。

親子関係や養子、認知についてはいろいろ話があるのですが、それはまたの機会にさせていただきます。