平成11年改正
平成10年4月、法制審議会の民法部会は、遺言の方式の見直しを検討課題として取り上げることを決定し、同部会の身分法小委員会において、審議を開始しました。
平成11年2月に改正要綱が法務大臣に答申され、これを受けて同年に成年後見制度と一体化された民法の一部を改正する法律が制定されました。
それまでの民法では、公正証書遺言の方式について、「口授」、「口述」および「読み聞かせ」が必須の要件とされていたために、聴覚・言語機能障害者は公正証書遺言ができないものとされていました。
この改正によって、聴覚・言語機能障害者が手話通訳などの通訳や筆談によって公正証書遺言をすることができるもの改められました。
あわせて、秘密証書遺言、死亡危急者遺言などについても、聴覚・言語機能障害者が、「通訳人の通訳」によって遺言できるものとされました。(民法第979条、第976条、第979条)
中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律
中小企業の事業承継において発生する問題点として、民法の遺留分による制約、事業承継時の資金調達の困難性、事業承継に際しての相続税負担などが指摘されていました。
これらの問題に対処するために、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律が平成20年に制定されました。
この法律では、一定の要件を満たす後継者が、遺留分権利者全員との合意および所要の手続をへることを前提として、下記のいずれかができるものとされました。
①先代経営者からの贈与などによって取得した株式の価額を遺留分算定の基礎となる財産の価額に参入しない
②先代経営者からの贈与などにより取得した株式の遺留分算定における評価額をあらかじめ固定する
平成25年改正
平成25年9月4日に最高裁判所大法廷で、民法の規定のうち嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする部分が違憲である判断されました。
これを受けて同年に、「民法の一部を改正する法律」が成立し、同部分を削除する改正がされました。(民法第900条第4号ただし書き)