遺留分の意義
遺言者は、遺言によって自身の財産を自由に処分することができます。
しかし、この財産処分の自由を無制限に認めると、相続人の生活保障に支障をきたします。
そもそも、遺言者が財産を形成するにあたって、家族つまり相続人の協力があったとも考えられます。
そこで、民法が定めたのが、兄弟姉妹を除く法定相続人が、遺言によって侵害された相続権について最低限主張できる取り分である遺留分です。
集団(総体)的遺留分
遺留分は、
・相続人または直系卑属は2分の1
・直系尊属だけが法定相続人である場合は3分の1
というのように、「被相続人の財産」に対する「割合」で示されています。
この割合のことを「集団的遺留分」または「総体的遺留分」といいます。
各人の遺留分(個別的遺留分)
各人の遺留分これを個別的遺留分といいますが、この集団(総体)的遺留分にそれぞれの法定相続分を乗じて計算します。
個別的遺留分=集団的遺留分×法定相続分
被相続人の財産
次は、「被相続人の財産」の計算方法についてです。
被相続人の財産=①+②a+②b-③
① 被相続人が相続開始時に所有していた財産
②a 共同相続人の特別受益に該当するものすべて
②b 相続人以外への贈与は、原則として相続開始前1年以内になされたもの
③ 被相続人の債務の全額
したがって、上記で計算した被相続人の財産にたいして各人の遺留分(割合)を乗じたものを、それぞれが請求することができることになります。