昭和55年改正

相続法改正についての審議が昭和46年からはじまり、昭和54年の改正要綱試案の公表、昭和55年の改正要綱の法務大臣への答申をへて、同年、「民法及び家事審判法の一部を改正する法律」が成立しました。

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昭和55年改正の内容は、以下のとおりです。

①配偶者の法定相続分の引上げ

それまでは、配偶者の法定相続分は、子と相続する場合は3分の1、直系尊属と相続する場合は2分の1、兄弟姉妹と相続する場合は3分の2とされていましたが、それぞれ2分の1、3分の2、4分の3に引き上げられました。(民法第900条第1項から第3項)

②寄与分制度の新設

相続人間の実質的な衡平をはかるために、寄与分制度が新設されました。(民法第904条の2)

③代襲相続制度の見直し

それまでは、兄弟姉妹が相続人となる場合に、代襲相続人の範囲について制限はありませんでしたが、兄弟姉妹の子(被相続人からみて甥・姪)までに制限されました。
(民法第889条第2項中第887条第3項を準用する部分の削除)

④遺産分割基準の見直し

遺産分割を行う基準として民法第906条で「遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の職業その他一切の事情を考慮」すると定められていましたが、相続人について考慮すべき例示として、「年齢」と「心身の状態及び生活の状況」が付け加えられました。

⑤遺留分の見直し

それまでは、直系卑属だけが相続人である場合と直系卑属+配偶者が相続人である場合の遺留分は2分の1、その他の場合の遺留分は3分の1とされていました。
配偶者の法定相続分の引上げにともなって、ア)配偶者だけ、イ)配偶者+直系尊属、ウ)配偶者+兄弟姉妹が相続人である場合の遺留分3分の1が、いずれも2分の1に引き上げられました。(民法第1028条)