今回は、私の好きな本を1冊ご紹介します。
「ハワイイ紀行【完全版】」、著者は池澤夏樹さんです。
この本との出会いは、まったくの偶然でした。

hawaii
今から4年ほど前、その日夕食の約束をしていた私は、JR新橋駅に着いたのが約束の時間の15分ほど前でした。
まっすぐ行くのには少し早すぎるし、どうしようかなと思いながらSL広場を通りかかると、古本屋さんが店を出していました。
で、特に目的もなく暇つぶしがてら本を見ていた時に、ふと目に留まったのがこの本でした。
妙に分厚い(26mm程)文庫本で、題名を見て「ハワイイ」って何?と思って手に取り、表紙の写真をだけを見て中身は見ずに取りあえず買ってみました。

題名のとおり、著者である池澤夏樹さんがハワイイを旅した紀行文なのですが、これがなかなか秀逸なのです。
私も何度かハワイイに行ったことがあり、そのたびにガイドブックやいわゆるハワイ本を買っています。
もちろん、それはそれでいいのですが、「なんかもう少し、ハワイについて詳しく知りたいな」と、それらの情報だけでは満たされない思いがありました。
そんな思いをそっと満たしてくれる本がこの「ハワイイ紀行」です。
池澤夏樹という旅人の目をとおして、ハワイイの歴史・文化・自然などなどを疑似体験することができます。
中身はなかなか深いですが、まさに紀行文らしく軽快で非常に読みやすい文章です。

また、この本の中には、著者がハワイイの旅で出会ったたくさんの人たちが登場します。
テレビを見ていて、そのうちのだれかを偶然見かけたときは、まるで自分の旧知の人に合ったような気がしたりします。
ちなみに最近では、「サワラ君」をテレビで見かけました。

この本は、書かれてから既に20年が経過しています。
それがかえって、「今」がこの本を読むのに適している時期のように感じます。
この本が書かれた20年前と、その後の経過から現在を比較しながら読んでいくと、なかなか興味深いですよ。
そして、またハワイイに行きたくなってしまいますね。